みんなと一緒じゃなくても

 成長のスピードや物事への取り組み方は、子どもそれぞれ違うことを、保育士はわかっている。私たちは、そのことを前提にして、子どもたちとかかわる。

 Aちゃんは、先を急ぎたくなっちゃうので、時々、間違えてしまうことがある。Bちゃんは、ゆっくりだけれど、丁寧に確実にやろうとする。Cちゃんは、みんなといっしょには、やりたくないけれど、みんなが終わったころに、やってきて黙々とやっている。

 ほかにもクラス担任をし、目の前の子どもたちと真剣に向き合っていると、いろいろな個性を発見する。そして、同僚とそんな子どもたちの姿を共有し、認めたり、助け合ったりしながら集団の場での保育を積み重ねていく。子どもたちの個性をありのまま受け止めたいと思う。しかし、保育士1人では、限界があると思う。新人の頃、私は、先輩の保育士に手伝ってもらいながら『自分がうまくできないから、未熟だから、ちゃんとできないから』と、手伝ってもらうことを否定的に受け取っていた。しかし、経験を積んだ今も、一人ではできない、というか、一人でやり切ろうとする方が、子どもたちに我慢をさせたり、一方的な考え方を押し付けてしまったりすることにつながり危険だと思う。

 クラス担任は、中心になって、クラスの子どもたちを観ていくが、そこには、その保育園の同僚、上司の子どもたちへの視線がやんわり伝わる環境があるといいと思う。そして、そんな場所で保育をしたいと思う。

 若い保育士さんは、未熟だからと自分を否定せず、子どものために保育をしているのだから、保育士同士が、お互い助け合いながら子どもとかかわるのは、当たり前のこと。遠慮せずに、先輩の保育をみて、真似て、「?」と思うことは、聞いて、成長してほしいと思う。そして、経験豊富な保育士さんたちは、様々な保育の中から、改めて、自分の子どもたちへのかかわりを問い直す機会を大切にして、お互い成長できるといいなと思う。いくつになっても成長できるってステキなことだと私は思う。