子どもの社会性の学びと保育士のかかわり

 保育園での集団生活では、友だちとかかわり、その中で社会性を学ぶと考えていました。ところが、ある時研修で、社会性は大人数の中では育ちません。ていねいに保育士がかかわることで、社会性が育っていくのです。子どもは、自分自身を何度も何度も身近な大人にていねいに受け止めてもらうことを経験し、はじめて、友だちと、人とかかわることを学ぶのです、という講師の言葉を聞いて、私は、はっとしました。

 自分の思いを聞いてもらったことがない子は、相手の思いを聞き、まして受け入れることなど、難しいだろうな、とは漠然と思っていました。ただ、保育士が、その中心に存在するのではなく、子ども同士のかかわりの中で、保育士は必要な時に援助することで、社会性は育っていくと思っていました。しかし、それは、何度も受け止められた経験のある子どもが、次のステップとして、友だちとのやりとりをしていくのだろうと思いました。

 少し前は、保育園の集団生活に入る前に、保護者とのかかわりがゆったりあり、自然と受け止めてもらった経験をしてきた子が、入園してきたように思います。しかし、今は、保護者やまわりの大人にゆとりがなく、ていねいにかかわることができにくいと感じています。

 なんとか、今の状況の中でも、できるだけていねいにかかわりたいと思い、そして、多くの保育士がそうした保育をしてくれることを願います。